歯科医院の採用のコツ10項目 | 人材確保を5段階で進める順番

歯科医院の診療室に並ぶ歯科医師と歯科衛生士・歯科助手のスタッフ4名

求人を出しても歯科衛生士も歯科助手も増えない歯科医院は、採用のコツを探す前に、どの段階で止まっているかの確認が必要です。

歯科医院の採用は、求人を出す前の計画から入職後3か月の教育までが1本のつながった工程です。

この記事では、歯科医院の採用を成功させる10のコツを5つの段階に沿って整理し、費用と工数で決める着手順、面接で聞く質問、成果を測る4つの数字まで扱います。

統計は厚生労働省と公益社団法人日本歯科衛生士会の公表資料をもとにしており、本記事は2026年10月時点の情報です。

Webマーケティング支援を行う株式会社青春貢献が、歯科医院の採用支援の現場で見てきた内容を加えました。

監修者
野呂 辰樹
      青春貢献 取締役

アパレルEC運営、WEB広告代理店でのSNSディレクター経験を経て、2024年に青春貢献へ入社。SNS運用やインフルエンサー施策に加え、営業・人事・マネジメントまで幅広く担い、2025年4月より取締役に就任。
現場と経営の両視点を持つマーケターとして、次世代マーケティング戦略設計、ブランディング構築、SNS運用戦略を得意とする。SNSエキスパート検定上級保持。

歯科医院の採用のコツとは?採用を5つの段階に分けて考える

歯科医院のスタッフが書類を見ながら採用計画を話し合う様子

歯科医院の採用のコツとは、計画・募集・選考・内定・定着の5段階のうち、自院が止まっている段階に手を入れることです。

採用を「求人を出して応募を集めること」と捉えると、面接や内定、入職後でつまずいている医院は、求人の出し方を変えても人材確保につながりません。

歯科医院の採用は5つの段階に分かれる

歯科医院の採用は、次の5段階で構成されます。

  • 計画:必要人数と求める条件、募集時期を決める
  • 募集:求人票、掲載先、医院情報、応募の受け口を整える
  • 選考:職場見学と面接で相互に判断する
  • 内定:入職までの連絡で辞退を防ぐ
  • 定着:入職後3か月の教育で早期離職を防ぐ

歯科診療所66,378施設が同時に募集している市場構造

歯科医院の人材確保が募集だけで完結しない理由は、同じ条件の求人が全国で同時に出ている市場構造にあります。

厚生労働省の「令和6年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」(2025年)では、全国の歯科診療所は66,378施設です。

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、歯科衛生士の有効求人倍率は2.78倍(令和7年度・全国)で、job tagの歯科衛生士のページで確認できます。

歯科採用の全体像は、歯科採用方法の成功戦略で解説しています。

歯科医院の採用を成功させる10のコツ

歯科医院の採用のコツは、採用計画・条件設計・業務の棚卸し・求人票・医院情報・応募対応・職場見学・面接設計・内定フォロー・入職後の教育の10項目に整理できます。

コツ内容段階費用
1欠員の3か月前から動く採用カレンダー計画0円
2条件を必須と歓迎に分ける計画0円
3業務を棚卸しして採用人数を減らす計画0円
4求人票を勤務条件の数字で書く募集0円
5医院情報を3か所に用意する募集0〜30万円
6応募の受け口を複数にし24時間以内に返信募集0円
7面接前に職場見学を組み込む選考0円
8面接の質問と評価基準を固定する選考0円
9内定から入職までの連絡を決める内定0円
10入職後3か月の教育計画を文書で渡す定着0円

10のコツのうち9項目は費用をかけずに着手できます。

費用が必要なのは、医院情報の整備にあたるコツ5だけです。

採用計画と募集条件で押さえる3つのコツ

歯科医院の採用計画では、欠員が出る3か月前に募集を始めること、求める条件を必須と歓迎に分けること、業務を棚卸しして採用人数を減らすことの3つが起点になります。

コツ1:欠員が出る3か月前から動く採用カレンダーをつくる

歯科医院の採用は、退職の申し出を受けてから動き始めると、欠員期間を院長とパートの時間外で埋めることになります。

求人票の作成に1週間、掲載から応募までに2〜4週間、面接から入職までに1〜2か月かかるため、募集開始から入職までは3か月を見込みます。

採用カレンダーには、歯科衛生士養成校の実習と卒業の時期、産休・育休の復帰予定、スタッフの資格取得予定を書き込みます。

コツ2:求める条件を「必須」と「歓迎」に分けて母集団を広げる

歯科医院が求める人の条件は、資格などの必須条件と、あると望ましい歓迎条件に分けて書きます。

「歯科衛生士・経験3年以上・常勤」という一括りの条件は、「自分は対象外」と判断される範囲が広くなります。

job tagでは歯科衛生士のパートタイマーが41.8%を占め、常勤限定の募集は4割を最初から外すことになります。

  1. 資格:歯科衛生士・歯科医師は必須。歯科助手と受付は未経験可にできる
  2. 勤務形態:常勤1名の枠を、時短1名と週2〜3日1名の2枠に分けられるか検討する
  3. 経験年数:歓迎条件に移し、代わりに入職後の教育内容を明示する

コツ3:業務を棚卸しして採用する人数自体を減らす

歯科医院が採用する人数は、業務分担の棚卸しで減らせる場合があります。

歯科衛生士法に定められた歯科衛生士の業務は、歯科予防処置、歯科診療の補助、歯科保健指導の3つです。

一方でjob tagの就業者調査では、受付や精算、診療報酬の請求事務を担う歯科衛生士が78.9%を占めています。

これらを歯科助手や受付スタッフに移すと、歯科衛生士1名が担える診療時間が増え、必要な採用人数が変わります。

業務移管と条件設計は、歯科衛生士が採用できない理由と対策で解説しています。

応募を集める段階で押さえる3つのコツ

歯科医院が応募を集める段階では、求人票を勤務条件の数字で書くこと、医院名で検索されたときの判断材料を用意すること、応募の受け口を複数にして24時間以内に返信することの3つが効きます。

コツ4:求人票は雰囲気の言葉ではなく勤務条件の数字で書く

歯科医院の求人票は、「アットホーム」「やりがい」といった抽象語を勤務条件の数字に置き換えます。

書かれがちな表現置き換える数字
アットホームな職場常勤3名・パート4名、平均年齢34歳
残業は少なめ月平均の残業は4時間
お休みしやすい環境前年度の有給取得は平均9日
教育体制が充実入職3か月は先輩が同席、月1回の振り返り

厚生労働省の「2024年4月からの労働条件明示のルール変更」では、就業場所と業務の変更の範囲も明示事項に加わりました。

原因別の直し方は、歯科医院の求人に応募が来ない7つの原因で解説しています。

コツ5:医院名で検索されたときの判断材料を3か所に用意する

求職者は求人票を見たあとに医院名で検索するため、検索結果に判断材料を3か所用意します。

  • 採用ページまたは医院サイトの採用情報:スタッフ構成、1日の流れ、教育の中身、応募フォーム。
  • Googleビジネスプロフィール:診療時間、院内写真、口コミへの返信。
  • SNSアカウント:働いているスタッフが写っている投稿。

今週着手できるのはGoogleビジネスプロフィールの更新で、採用ページの新規制作は後回しにします。

コツ6:応募の受け口を複数にして24時間以内に返信する

歯科医院の応募の受け口は電話だけにせず、フォームか公式LINEを加え、応募から24時間以内に返信します。

在職中の求職者は診療時間内に電話をかけにくく、電話のみの受け口は応募の直前で離脱が起きます。

返信が休診日明けになると、同時に応募した他院に先に面接日程を押さえられます。

応募通知の宛先を2名以上にし、返信の文面を定型化しておくと、診療の合間でも24時間以内の返信が成立します。

職場見学と面接で見極めと動機づけを両立させる2つのコツ

歯科医院の選考では、面接の前に30〜60分の職場見学を組み込み、面接では質問と評価基準を決めて全員に同じ順番で聞くと、見極めと動機づけを両立できます。

コツ7:面接の前に30〜60分の職場見学を組み込む

歯科医院の職場見学は、医院が見極める場ではなく、求職者が働く姿を具体化する場として設計します。

見せる内容は、ユニットの配置と動線、器材、滅菌作業の流れ、スタッフ同士の声のかけ方の4つです。

受け入れ日を「毎週水曜の14時から」のように決めておくと、応募への返信時に日程を提示できます。

株式会社青春貢献が歯科医院の採用を支援する現場では、見学日が決まっていない医院ほど、日程調整に1週間以上かかる状態が見られます。

コツ8:面接は質問と評価基準を決めて全員に同じ順番で聞く

歯科医院の面接は、質問・順番・評価の軸を固定すると、院長の印象に左右されない比較ができます。

聞く質問は次の5つです。

  1. 前職または実習で1日に担当していた患者さまの人数
  2. 任されていた業務の範囲(歯科予防処置・診療補助・保健指導・事務)
  3. 働くうえで優先したい条件を3つと、その順番
  4. 入職後3か月でできるようになっていたいこと
  5. 求人票や見学で分からなかったこと

面接は医院も選ばれている場です。

院長は「残業と休憩の実際の運用」「3か月で誰が何を教えるのか」「今のスタッフの勤続年数」の3点に、事前に答えを用意します。

内定辞退と早期離職を防ぐ2つのコツ

歯科医院の内定辞退と早期離職は、内定から入職までの連絡を日程つきで決めておくこと、入職後3か月に教える内容を入職前に文書で渡すことで減らせます。

コツ9:内定から入職までの連絡を日程つきで決めておく

歯科医院の内定辞退は、内定から入職までの1〜3か月に連絡がない空白期間で起きやすくなります。

在職中の求職者はこの期間に退職交渉を進め、他院の内定を並行して受けている場合もあります。

  • 内定日から3日以内:労働条件通知書を書面で渡し、入職日と初日の持ち物を伝える。
  • 内定から2週間後:退職交渉の進み方を確認し、入職日の調整余地を伝える。
  • 入職の2週間前:初日のスケジュールと指導担当者の名前を伝える。
  • 入職の3日前:出勤時間、入口、着替え場所、昼休憩の過ごし方を伝える。

コツ10:入職後3か月に教える内容を入職前に文書で渡す

歯科医院は、入職後3か月で教える内容を1枚の文書にまとめ、入職前に渡します。

公益社団法人日本歯科衛生士会の「歯科衛生士の勤務実態調査報告書(第10回、2025年3月)」では、回答者5,385人のうち転職経験者が80.8%を占めます。

転職が一般的な職種であるため、立ち上がり時の不安は離職の要因になります。

文書に書く項目は次の4つです。

  1. 3か月後の到達目標:担当できる処置と、独りで対応する範囲。
  2. 担当する業務の範囲:歯科予防処置・診療補助・保健指導・事務のどこまでを担うか。
  3. 指導担当者の名前:誰に聞けばよいかを固有名で書く。
  4. 振り返りの日程:入職1か月後・2か月後・3か月後の面談日。

10のコツはどれから始めるべき?費用と工数で決める着手順

歯科医院の院長がスーツ姿の求職者と面談している様子

歯科医院の採用は、費用がかからず当日着手できる応募対応と内定フォローから始め、求人票、面接設計、職場見学、採用計画、医院情報の整備の順に進めると無駄が出ません。

着手順やること費用工数成果が見える期間
1応募の受け口を増やし24時間以内に返信する0円1〜2時間当日
2内定から入職までの連絡日程を決める0円1時間当日
3求人票を勤務条件の数字で書き直す0円3〜4時間1〜2週間
4面接の質問と評価基準を決める0円2時間次の面接から
5職場見学の受け入れ日を固定する0円1時間次の応募から
6入職後3か月の教育計画を文書にする0円3時間入職3か月後
7募集条件を必須と歓迎に分け、業務を棚卸しする0円4〜6時間2〜4週間
8採用カレンダーをつくる0円2時間次の欠員時
9採用ページと医院情報を整える0〜30万円外注で1〜2か月1〜3か月

着手順1から8までは費用が0円で、外部に支払いが発生するのは採用ページと医院情報を整える9番目だけです。

厚生労働省の「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(2026年)によると、人材紹介の手数料は常用就職1件あたり約103万円です。

無料で直せる範囲を終えてから、有料の選択肢を検討します。

歯科医院の採用の成果は何で測る?4つの数字と確認の頻度

歯科医院の採用は、求人の閲覧数・応募数・面接実施率・入職後3か月の在籍率の4つの数字を月1回確認すると、どの段階で止まっているかを判断できます。

指標確認場所つまずきのサイン見直す対象
求人の閲覧数求人媒体の管理画面4週間で2桁未満募集条件と医院情報
応募数媒体・フォーム・LINE閲覧3桁で応募0〜1件求人票の数字
面接実施率応募者の対応記録応募の半数が面接前に離脱応募対応と職場見学
入職後3か月在籍率勤怠記録3か月以内の退職が続く入職後の教育計画

採用を「採れた・採れなかった」の二択で振り返ると、次に何を直すかが決まりません。

管理画面で閲覧数と応募数を見て、対応記録で面接まで進んだ人数を数える作業は、月1回5分程度で終わります。

歯科医院の採用はどこまで外注できる?自院対応と外注の線引き

歯科医院の採用で外注に向くのは採用ページ制作・SNS運用・動画制作・求人原稿の作成で、採用計画・職場見学・面接・内定フォローは院内で担う領域です。

領域自院/外注費用の目安判断基準
採用計画・必要人数の決定自院0円診療体制を決める判断
求人原稿の作成自院または外注3〜10万円数字の提供は自院が行う
採用ページ制作外注10〜30万円常時募集がある場合に投資対象
SNS運用・動画制作外注月5〜20万円更新担当が院内にいない場合
職場見学の受け入れ自院0円働く環境そのものを見せる場
面接・評価自院0円一緒に働く人を決める判断
内定フォロー・教育設計自院0円医院の運用に紐づく

株式会社青春貢献が歯科医院の採用を支援する現場では、外注しても採用が動かない医院に3つの共通点が見られます。

  • 採用の担当者が決まっておらず、応募の一次対応が手の空いた人に回っている
  • 職場見学の受け入れ日が決まらず、日程調整が院長の都合待ちになっている
  • 応募への返信が診療後にまとめて行われ、翌診療日以降にずれている

この3点は外注先が代わりに整えられないため、外注の検討前に院内で決めておきます。

外注する場合の費用の内訳と選び方は、歯科医院の採用ブランディング費用で相場をまとめています。

歯科医院の採用のコツに関するよくある質問

Q. 歯科医院の採用で最初に手をつけるべきコツはどれですか

A. 最初に手をつけるのは応募の受け口と返信体制、内定後の連絡ルールです。

いずれも費用が0円で、1〜2時間で着手できます。

Q. 給与を上げないと歯科医院の人材確保は進みませんか

A. 給与の引き上げは条件の1つですが、給与だけで人材確保が決まるわけではありません。

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では歯科衛生士のハローワーク求人賃金は月額26.2万円(令和7年度・全国)で、提示額が26万円台を下回る場合は引き上げの検討対象になります。

水準を満たしている場合は、勤務形態の選択肢や教育の中身など給与以外の条件を整えます。

Q. 内定を出してから辞退されるのを防ぐ方法はありますか

A. 内定から入職までの連絡を日程つきで決めておきます。

内定日から3日以内に労働条件通知書を渡し、入職の2週間前に初日のスケジュールと指導担当者の名前を伝えます。

Q. 院長が診療をしながら採用を進めるにはどうすればよいですか

A. 判断が必要な作業と定型化できる作業を分けます。

採用計画・面接・評価は院長が担い、一次返信と日程調整は定型文と固定日程で事務長に任せます。

まとめ:歯科医院の採用を成功させる10のコツと進める順番

歯科医院の採用は、応募対応と内定フォローの修正、求人票の数字化、面接と見学の設計、採用計画の前倒しという順番で進めると、どこに原因があったかを切り分けられます。

  • 歯科医院の採用のコツは、採用計画・条件設計・業務の棚卸し・求人票・医院情報・応募対応・職場見学・面接設計・内定フォロー・入職後の教育の10項目です。
  • 10のコツのうち9項目は費用をかけずに着手でき、費用が必要なのは医院情報の整備だけです。
  • 採用が止まっている段階は、求人の閲覧数・応募数・面接実施率・入職後3か月の在籍率で特定できます。
  • 面接の前に30〜60分の職場見学を組み込み、質問と評価基準を固定すると、印象に左右されない比較ができます。

今日は応募の受け口の点検と内定後の連絡ルールの決定、今週は求人票の数字化と面接の質問設計、1か月で職場見学の日程化に進みます。

株式会社青春貢献では、歯科医院の求人原稿と採用ページ、SNS発信、公式LINEを組み合わせた採用の設計から運用までをお手伝いしています。

自院の採用がどこで止まっているかを一緒に切り分けたい方は、お問い合わせからご相談ください。